ニコマートEL修理?

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 ペンタックスMZ-Lが妻用になかなか適しているようなので、 購入しようと思っていました。カメラのキタムラでどんなカメラでも 5000円以上で下取りするということだったので、実家の使ってないカメラを 発掘してきました。それがオリンパスペンEE-2だったのです。

 30年ぐらい前に既に父が使っていました。その後兄がしばらく使った後、 裏蓋モルト周辺から光線漏れして死蔵されていた物です。20年間ぐらいは 使われていないと思います。

 私が発掘した時にはレンズもファインダーもカビて、絞りも粘っていましたが、 シャッターとセレン光電池は生きていました。どうせ下取りに出すのだからと、 HPなどを参考にしながら分解してみたところ、レンズとファインダーのカビも取れ、 絞りの粘りも洗浄する事で回復しました。裏蓋周りの光線漏れはモルトのかわりに 黒い毛糸で代用する事で対策しました。

 試し撮りしてみたところ、見事に回復していました。またMF、MEの一眼レフと違い 速写性に非常に優れており、動きの速い子供を撮るのに好都合でした。ピント固定 なのであまり近づいて撮る事はできませんが、その点だけ注意すれば非常に 使い勝手のいいものでした。

 実はEE-2とほとんど構造が同じEE-3を、20年ぐらい前に中古で5500円で 購入していたのですが、これも一眼レフを使うようになってから まったく使っていませんでした。少し前に出してみたらレンズ内に ごみがかなりたくさんついていて、撮ってみると写真が白っぽくて もやっとした感じにしか撮れず、その後死蔵していました。

 EE-2の修理がうまく行ったのでEE-3もレンズ周りを分解、清掃したところ、 ゴミをきれいに取り除く事に成功しました。レンズがきれいになり、 ちゃんとした写真が撮れるようになり、またEE-3を使う機会が多くなりました。

 前置きが長くなったのですが、5年ぐらい前に Nikomat EL+NIKKOR-H Auto 1:2 f=50mm を知人からもらいうけていたのですが、露出計が死んでいるのか、正確な 値を示さず、死蔵していたのです。多分CdSの劣化が原因だろうと思います。 単体露出計を使って撮ってみたところ、古い単層コーティングのレンズでは 逆光から半逆光ではコントラストが低下し、全体にフレアが かかったようになりますが、順光でF5.6以上に絞れば、 淡いふわっとしたなかなか味のある描写をする事がわかりました。 本来ニッコールといえばカリカリのはずなのですが、 このレンズは保管状態も悪く、コーティングに傷もあるので致し方ないのでしょう。 シャッターと絞りはきちんと制御されている事はわかりました。 そこで、CdSを移植する事でペンのように自分で直せないかと 分解してみたのですが、これがまったく歯が立たないどころか、 傷物にしてしまいました。部品も一個なくしました。 上カバーが取れません。怪しい部品やネジを全部 取っても上カバーががっちり密着していました。で、ニコマートの分解に関する 情報をHPなどで探していたら、近所に修理業者を見つけました。 だめもとで聞いてみると、驚いた事にニコマートELの露出計の部品の在庫があるという。 早速ニコマートを送りました。 ついでにシャッター、フランジバック、モルト、その他点検もお願いしました。

 何でいまさらニコマートELなのかと思われるかもしれません。newFM2、FM3aと 替わりになるどころか、スペック上はニコマートをはるかに凌駕する機種も ニコンにはあります。 以前newFM2購入一歩手前まで行きました。しかし、 使うとわかるのですが、newFM2、FM3aはシャッターを切った時の音が 悲しいぐらい安っぽいのです。萎えました。買わずに帰ってきました。 対してニコマートELは シャッターを切った時の感じが重厚で上品なのです。 上下カバーのはめ合わせなどもピッチリしており、ベコベコ感が 有りません。あとAI以前の古いレンズから新しいレンズまで、 カニの爪が付いていれば使える、というのがわかりやすい。 ニコン党ではない私にはニコンのどのレンズにどのボディーがつくか、 どんな機能制限があるのかなどが把握できません。

 3週間という短時間でニコマートの修理が終わり戻ってきました。 料金は着払い送料、消費税込みで二万円ほどでした。露出計が治っているなら 妥当な所だと思います。が、これが治ってませんでした。修理に出す前と ほとんど同じ針の振れなさ。伝票を見ると露出計修理になっているのだが? 伝票のCdS受光部の項目はノーチェック。 電話して聞いてみると、これで正常、この頃の露出計はそんな物、 試しにオートで1本とって見ろという回答。 どんなに他のカメラと示す値があまりにも違う事を説明しても、 理解してくれない。

 レンズの前を手で覆って真っ暗にしても針が下がらない→そんなに暗いところを 測る意味がない。手持ち出来ない1/30以下のところを測る意味がない。
 マニュアルで・・・・・・→マニュアルの時は連動しない。マニュアルの時 露出計を使う意味がない。
 オートでも・・・・・・→この頃の露出計はそんな物、試しにオートで1本とって。

 だそうな。やっぱカメラの事をわかってないね。

 同じ条件でペンタックスLXやセコニック 露出計がそろってEV5(F4 1/2)のときにニコマートELはEV12(F4 1/250) 7段アンダーで正常だそうな。ためし撮りするまでもなく真っ黒な写真だと思うのだが。 どんな暗いところに向けてもEV10.5(F4 125+1/2)以下にはならない。 これで正常とは?素人だからと舐めているのか、カメラの事をわかってないのか、 私が何か勘違いしているのか?修理が終わったら一通りチェックするのは 当然だと思うのだが、何でそれができないのだろうか。 チェックしたと言うのならEV値いくつで合わせたと言うのだろうか。 人間なら誰でも間違いはあると思うのだが、何でそれを指摘されてしらを切るのか。

 電話ではらちがあかないので近々直接行ってみる事にしました。

 早速行ってきました。 露出計が直っていない事は理解してもらえました。

 その露出計が直っていると判断した修理屋さんのテストの方法なのですが、 修理に来ている別のEL(未修理だよ。しかも、とあるBBSでこのニコマートの 持ち主らしい人がいて、その症状がわかったのですが、開放F値のセット機構が おかしくなってたらしい。つまり露出計の表示はあてにならない )を窓側に向けてISO100 F5.6 1/250、 私のELもISO100 F5.6 1/250を示していて、1つの条件で同じ値を示しているから 狂ってないと判断したと言うのです。この時私が持参した正常なLXは ISO100 F5.6 1/60で二台のELはそろって2段アンダーなのですがね。 その事を伝えても”それは物が違うから”と。 そこでレンズを手で覆ってみてもらうと未修理ELは1秒ぐらいまで 針が下がりましたが、私のはF16に絞っても1/8がやっとという ことでようやく露出計がなおっていないことを御理解頂けました。 露出計の根本的な事をわかってないのかなぁという印象でした。 露出値が機種固有だと思ってるのか・・・・・?
 中古を買うときにも暗いところから明るいところへ少しずつカメラを 動かしながら露出計の針の動きを見ますよね。それすらしないで送り返して 来たのです。ほかの露出計と出目をつき合わせる以前の問題なのに気付かない、 でも堂々と”カメラ修理センター”だって。

 CdS交換を約束してもらいましたが、その未修理ELにそろえられても困るので いろいろな条件で、いろいろな露出計でテスト調整してくれるよう 伝えておきました。出来たら取りにうかがうとも。

 そこの修理屋さんは、何年か前に地元のテレビで紹介されているのを見て、 初めてその存在を知りました。その後ネットなどで何回か良い評判を 目にしました。で、今回ニコマートELを託したのですが。

 マンションの一室を仕事場にしていて、修理を待つカメラが床にずらっと紙袋に 入れられていました。机の上には今格闘しているカメラが、カバー類を剥がされ メカが剥き出しでした。ペンタプリズム、部品取りと思われるジャンク なども見られました。 そばにはエアコンプレッサーとエアガンがあり、 テスターなども見えました。この道40年だそうです。

 1日分のメールがこんなに来ます。と、メールをプリントアウトした物を 見せてくれました。日本中から修理の依頼が来るのだそうです。 紹介されている雑誌なども見せてもらいました。 奥様のお話しを伺っていて古いカメラに対する強い愛情を感じる事が出来ました。 修理依頼が殺到して修理内容や修理後のチェックがおろそかになっている とは思いたくないです。私のELが例外だったのだと。

 応接間の食器棚にカメラが並んでいました。修理して販売しているという事でした。 中にF2フォトミックがあり、ちなみに65k円との事でした。 触らせてもらいましたが、F2の現実を感じる事が出来ました。 発売当時はその時のカメラのレベルをはるかに超えていたのかもしれませんが、 今のカメラのレベルで見るとどうって事ないのではないかと。 F2を持ってないと、その当時の凄さが今の基準で考えても 同じように凄いのではないかと幻想してしまうような気がします。 私の今の基準はLXですが、ファインダーや露出情報の見やすさ、 巻き上げレバーやシャッターボタンの感触、ボディー剛性など LXの方が良かったですね。新品のF2はまた違うのかもしれませんが、 新品を手に入れるのは不可能ですし。
 ちょうどライカM3なんかが発売当時は凄かったらしいですが、 今の基準からいくとコシナの方が実はいいという現象に似ているような。 ということでF2熱は完全に冷めました。

 あと、もう修理は懲りました。中古も懲りたし、新品で買って壊れたらまた 新品で買える物を買う、というのが一番いいという結論でした (読み返して気付いたのですが、これってキャノンの考え方のような・・・・)。

 朝日新聞にネット通販の悪徳業者の事が載っていました。悪徳業者のやり方には 2種類あって、1つは金を集めて持ち逃げするタイプ。これはHPもすぐ消えるそうです。 もう1つは違う物を送って来たり、なかなか送らなかったりして、相手が 交渉をあきらめるのを待つタイプ。これはHPは消えないそうです。
 これを見て、修理業者にも当てはまるのではないかと思いました。 修理しないで送り返し、直っていると言い張り、相手があきらめるのを待つという 手法が考えられます。電話での対応、直接行った時に見た露出計が正常かどうかの 判断の手法。思い起こすと心配になってきました。 取りに行くと伝えてあるのに代引きで送ってきて、再修理の料金を請求したら 黒でしょう。

 前回の修理が三週間かかりました。再修理に持って行って四週間たちましたが、 先方から何も連絡がありません(こちらが外出していた時に電話があった 可能性はありますが、平日は100%電話を取れる状態なのです)。 メールで修理はどうなったか聞いてみたら、 もうできているという返事。 こっちはずっと待っているのに、連絡もくれないとは。 取りに伺うとメールで伝えてあったのは伝わって いたようですが、どうしますかということだったので、 週末はDUCATIのタイヤ交換に行かねばならないので送ってもらうことにしました。 「今度は露出計は大丈夫ですよね。」という一文も添えました。 明後日には帰ってくると思います。さて直っているかどうか。 あまり期待してませんけど。 結局再修理になった事に対するお詫びは聞けませんでした。
 もうここには他のカメラを修理に出す気はありません。

 ELが戻ってきました。今回は送料は先方持ちで誠意を感じました。 露出計の方も直っていました。明るい所から暗いところまで 単体露出計と比較しても、測光している範囲は多少違うでしょうが 1/2EV以内のずれでした。これならリバーサルでもOKでしょう。 最初からここまでやってくれれば良かったのに。

 早速爪付きニッコールレンズを集めることにします。

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